極度の不安や緊張がきっかけで発症する運動障害のイップス。
あらゆるスポーツにおいてイップスを発症する可能性がありますが、中でもプロ野球選手に多いことがわかりました。
この記事では、イップスの特徴とイップスを経験した有名人を8選紹介します。
イップスとは
イップスを簡単に説明すると、今まで出来ていたことが突然できなくなる現象のことをいいます。
特に、メンタルが重要視されるスポーツ(野球など)のプレイヤーが多く発症されています。
野球の他にも、以下のようなスポーツでイップス発症が確認されています。
- ゴルフ
- テニス
- バスケット
- ボート競技
- ボーリング
- ダーツ
スポーツでの動作が思い通りにならず、自分らしいプレーができないと苦労される選手が非常に多いのです。
イップスの多い野球の具体的な症状はこちらです。
- ストライクが入らない
- 捕球後、一塁に上手く投げられない
- 返球、送球が暴投になる
- 近い距離でうまく投げることができない(コントロールが定まらない)
イップスは、外部からのプレッシャーやストレスが一番の要因です。
プレッシャーからくる心の葛藤は、筋肉から神経細胞まで影響を及ぼします。
そうなると無意識に筋肉が硬化され、思い通りにプレーすることが困難になってしまいます。
イチロー
イチロー選手は、過去に元プロ野球選手の稲葉篤紀さんと対談をした際にイップス経験があることを明かしていました。
高校2年生から約8年もの間イップスと向き合ってきましたが、「センス」で克服したと語っています。
イチロー選手がイップスになった原因は、高校時代にあった先輩後輩の縦社会でのストレスと言われていて、プロ入り後に克服されています。
イップス克服するには、決して練習量を増やすのではなく、練習の質を変えること。イチロー選手は何を意識して練習していくのかを感じ取るセンスがあったのではないでしょうか。
高梨雄平
ジャイアンツのセットアッパーとして現在も活躍し続ける高梨雄平選手。
高梨雄平選手は大学3年生の頃に完全試合を成し遂げた後イップスを発症しました。当時はかなりの重度だったそうです。
高梨がコントロールに苦しんだ原因は、大学時代にイップスを発症したことにあった。大学時代に挙げた勝利は3年春の完全試合が最後で、以降は極度の制球難に苦しめられた。18.44メートルが途方もなく遠く感じられ、ホームベースよりはるか手前にボールを叩きつけてしまう。高梨は「今だから笑える話になったんですけど」と言って、当時の苦悩を振り返った。
sports bullより引用
高梨雄平選手はイップスに悩み続けていましたが、哲学者であるルネ・デカルトの著書を読んだことをきっかけにイップスを克服。
さらに社会人の頃にオーバースローだったフォームをサイドスローに変えたことでプロとして活躍するようになりました。
荒木雅博
守備の名手と呼ばれた元中日の荒木雅博さんもイップスを経験されています。
荒木雅博さんのイップスは軽度の症状で済みましたが、当時はイップス経験者のコーチがいなかったので、周りから理解されず苦しんだようです。
当時の中日にはイップス経験者の指導者がいなかった。「なんでこんな簡単なこともできないんだ?」という目で見られるたびに、荒木は自尊心を傷つけられた。
Sportivaより引用
荒木雅博さんのイップスの症状として、腕が固まったように振りがぎこちなくなる時があったものの、大部分はごまかしながらプレーしていたのだとか。
「結局、1回イップスになってしまったら、たぶん野球をやめるまで治らないです。はい」
Sportivaより引用
荒木雅博さんはイップスと付き合いながら、23年間という長い野球人生を歩んできたということですね。
イップスとしっかり向き合い、技術でカバーしてきた荒木雅博さん。現役時代の活躍を観ているとイップスだったとは思えないほどです。
藤浪晋太郎
現役メジャーリーガーの藤浪晋太郎選手は、タイガーズで活躍されていた時にイップスを発症されたと言われていて、今もイップスによる制球難に悩まされています。
しかし、藤浪晋太郎選手は世間からイップスと言われていることに悔しさを感じているようです。
「制球難ってイップスで片づけやすいんですよ。ただ、イップスって投げることすら難しい状態を指す言葉です。なのに『いやいやいや、自分は違う』といくら否定しても、『イップスを認めないことには次のステップに進めないぞ』とか『イップスは治らない』と聞く耳を持ってもらえない。ふざけんな、誰がイップスや!と本当に悔しかったですね」
Fridayデジタルより引用
一方で、専門家の方たちは以下のようにコメントされています。
藤浪の制球難は“イップス”が原因で、野球を辞めるまで治らないと言えるほど深刻なものだと思っている」(東海岸のMLB球団のスカウト)
デイリー新潮より引用
藤浪晋太郎選手がイップスであると断言することはできないですが、現役で活躍されているので、どうにか制球難が治るといいですね。
高井雄平
高校時代に150㎞を超えるストレートで投手として活躍し、高卒ドラフト1位でプロ入りをした高井雄平選手。
高井雄平選手は真面目な性格ゆえにコーチや仲間たちのアドバイスを聞きすぎてイップスを発症してしまいました。どのボールを投げてもストライクを取ることができず、1軍から姿を消すことに。
イップス発症後、外野手に転向したことをきっかけにイップスが落ち着き、野手として成功を収めています。
内川聖一
NPBの右打者で最高打率記録保持者である内川聖一選手。
内川聖一選手は横浜ベイスターズに入団し、内野手だったときに送球イップスを発症しました。
その後、外野手に転向したことでイップスは治まり、日本代表に選ばれるなど結果を残しました。
内川聖一選手は2022年に現役引退していますが、イップスの改善方法を見出し、乗り越えたのは本当にすごいことだと思います。
松井稼頭央
守備の名手として知られた西武ライオンズ監督の松井稼頭央さん。
松井稼頭央さんはメジャーリーグへ移籍したときにイップスを発症しました。
日本人初の内野手という立場でメジャー挑戦し、新しい球場環境に慣れないなど苦労をされたようです。
松井稼頭央選手は、突然足が動かなくなるなどの症状がありましたが、楽天に移籍をしてから外野に転向したことでイップスが改善されています。
田口壮
イチロー選手と同時期に1991年にオリックスへ入団した田口壮選手。
田口壮選手は入団後のキャンプ3日目でイップスが発症されました。
当時の監督に投げ方を治すように指示されるも、余計に投げ方がわからなくなり、2年経っても症状は改善されませんでした。
その後、内野手から外野手に転向したことでイップスを克服しています。